東京高等裁判所 昭和57年(行ケ)22号 判決
事実及び理由
一 請求の原因一ないし三の事実は当事者間に争いがない。
二 そこで、参加人が主張する審決取消事由の存否について検討する。
成立に争いのない甲第三号証によれば、引用アンテナには、取付けられたマストを共にするものではあるが、受信帯域を異にする(ここではVHF電波とUHF電波)複数の異波長室外アンテナの何れか一方のテレビアンテナの給電部に他方のテレビアンテナの混合器を固着し、これを接続する技術が具体的に開示されている。したがつて、この何れか一方のテレビアンテナの給電部に、他方のテレビアンテナの混合器を固着し、これを接続する技術的思想を、成立に争いのない甲第二号証により、本願明細書上従来法として示されている、受信帯域を異にする毎に別体のマストに取付けこれらとまた別体の混合器を介して電波を受信していた複数の異波長室外アンテナの設置方法に転用して、本願考案のように、互に別体の帯域専用室外用テレビアンテナと異波長室外用テレビアンテナとの何れか一方のテレビアンテナの給電部に何れか他方のテレビアンテナの混合器を固着することは、同体のマストに取付けられたテレビアンテナ間の組合せを別体のマストに取付けられたテレビアンテナ間に転用することに過ぎず、電気的に組合せの趣旨を異にするものではないし、また機械的な転用困難の根拠も何ら認められない以上、当業者にとつてきわめて容易に想到することができたものといわざるをえない。
そして、前掲甲第二号証、第三号証及び弁論の全趣旨によつて参加人が主張する本願考案の作用効果について検討すると、その<ニ>、<ホ>の効果は、本願明細書にも示されている従来法のテレビアンテナが本来有する効果と異なるところはなく、また、<イ>、<ハ>の効果は引用アンテナがもともと有する効果であり、前記認定のように、従来法のテレビアンテナに引用アンテナの技術を転用することがきわめて容易である以上、<イ>、<ハ>、<ニ>、<ホ>の効果を共に具備することは、その転用から、きわめて容易に予測できる範囲のものということができ、<ロ>の効果も、本願考案の構成上、機械的、電気的に転用困難な事由が見当らない以上、きわめて容易に予測することができるものとしなければならない。
そうすると、参加人が主張する<イ>ないし<ホ>は何れも従来法のテレビアンテナおよび引用アンテナの有する効果ならびにその転用から予測できる効果の範囲にとどまるものであつて、それ以上の相乗効果として評価すべきものは認め難いといわねばならない。
したがつて、本願考案をきわめて容易に推考することができるものとし、その進歩性を否定した審決の判断に誤りはなく、原告の主張は採用することができない。
三 よつて、審決の違法を理由としてその取消を求める参加人の請求は失当として棄却する。
〔編註〕本願考案の要旨は左のとおりである。
互いに別体の帯域専用室外用テレビアンテナと異波長室外用テレビアンテナとの屋外に対する取付けにおいて、フイーダーの取付けを含むテレビアンテナの取付けを安全・容易にするため、帯域専用室外用テレビアンテナと異波長室外用テレビアンテナとの何れか一方のテレビアンテナの給電部に何れか他方のテレビアンテナの混合器の合成樹脂製容器を一体に固着し、かつ、同容器に対して、他方のテレビアンテナの給電部からのフイーダーを容器内の混合器に接続するための接続手段を設けることを特徴とする混合器を内蔵したテレビアンテナ。